完全文・不完全文という考え方は日本の英語教育で広く使われている英文の分類ですが、実際のところ英語を本質的に理解するうえではほとんど必要ではありません。
同格の that と目的格の関係代名詞 that を見分ける際の補助として使えないこともないですが、そもそも関係代名詞や関係副詞の働きを理解していればこの分類に頼る必要はありません。
ただ英語を教える側にとっては、「関係副詞節は完全文、関係代名詞節は不完全文」のように説明がしやすいため、現在でも多くの場面で使われているのが実情です。
この記事では、そんな完全文・不完全文という考え方が何を表しているのか、どのように使うことができるのかを整理していきます。

いったい誰が続きを読むんだ?

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完全文・不完全文とは
さて、冒頭でほとんど必要ないと述べましたが、実際の教材や授業でこの言葉が出てくる以上、意味だけは知っておいた方が混乱しにくいのも事実です。
完全文・不完全文とは主に関係詞節の中で、本来その節に必要な文の要素(主語や目的語など)が欠けているかどうか、を説明するために日本の英語教育で使われている便宜的なラベルのことです。
- 完全文 :関係詞節の中の文の要素がそろっている文
- 不完全文:関係詞節の中で本来必要な文の要素が欠けている文

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英語圏の文法書ではほとんど見かけることのない概念ですが、日本の英語教育では
- 関係副詞節 :完全文
- 関係代名詞節:不完全文
という説明の仕方がよく使われています。
つまるところ、不完全文とは先行詞(関係代名詞が修飾する名詞)が関係詞節の中で本来入るはずの位置に表れていない文のことです。
一方で完全文はそれ以外です。例文で確認してみましょう。
The store where I bought the book is closed now.
(私がその本を買った店は、今は閉まっている。)
▸ 完全文:where 節中に動詞 bought の目的語 the book がある
→ この文では関係副詞が使われている
The book that I bought was expensive.
(私が買った本は高かった。)
▸ 不完全文:that 節中に動詞 bought の目的語 the book がない
→ この文では関係代名詞が使われている

関係代名詞と関係副詞なんて、そもそも使われる関係詞も文構造も違うから見分けるどうこうの話じゃないんだけどね
例えば TOEIC part 5 のような、関係代名詞か関係副詞かを選ぶ問題があったとします。
The store _ I visited yesterday is on the top floor.
(A) which (B) where (C) when (D) why
The store は場所なのでつい(B)where を選びたくなりますが、ここで見るべきなのは名詞の意味ではなく動詞の性質です。
visit は他動詞なので目的語が必要です。関係代名詞 which は The store の代わりに目的語として機能できますが、where は場所を表す副詞であり目的語にはなれません。
したがって正解は(A)which です。
このように、関係詞が文中でどのような役割を果たしているかを理解していれば、完全文・不完全文という知識がなくても正しく判断することができます。

あくまで、I visited っていう目的語が抜けた状態を説明するため、あとから不完全文って名前を付けてるだけだよ

実際、主格の関係代名詞は完全文になるから、完全文だから関係副詞、不完全文だから関係代名詞という覚え方はかなり危険だね
完全文・不完全文の使い道
完全文・不完全文という考え方は、文法上の仕組みを説明するための結果論的なラベルにすぎません。
後ろに続く文が不完全文だからといって、そこに特別な意味や構造があるわけではないのです。単に関係詞が文の一部の役割を引き受けた結果としてそうなっているだけです。
一方で英語力の向上にはつながりませんが、知識として押さえておくと、形式だけを見て処理しなければならない試験問題では、手っ取り早く点数を伸ばしたい学習者にとって役に立つ場面もあります。
同格の that と目的格の関係代名詞 that の見分け方
that は接続詞として使われたり、関係代名詞として名詞を詳しく説明したり、形容詞としても使われるなど非常に多機能な語です。
その中でも特に混同されやすいのが 同格の that と 目的格の関係代名詞 that です。
どちらも直前の名詞を修飾し後ろに節が続くため見た目がよく似ていますが、その役割は大きく異なることが使い分けるうえでのポイントです。
早い話、形式の違いで言うと
- 同格の that :完全文
- 目的格の関係代名詞 that:不完全文
のようになります。
The claim that he committed no crime was true.
(彼が犯罪を犯していない主張は本当だった。)
▸ 完全文:that 節中に動詞 commited の目的語 no crime がある
→ この that は同格で claim の内容を説明している
The claim that he made was true.
(彼がした主張は本当だった。)
▸ 不完全文:that 節中に動詞 made の目的語 The claim がない
→ この that は関係代名詞で claim の特徴を説明している
例えば TOEIC のような問題では、次のように形式だけで判断できる場合もあります。
The board members discussed the fact _ sales had dropped significantly in the last quarter.
(A) that (B) what (C) which (D) why
空欄の後ろは主語と動詞がそろった文なので(C)の関係代名詞 which は使えず、(A)の同格の that が正解だと分かります。
このように小手先のテクニックとしては使えるのですが、本質的な英語力の向上にはつながらない点には注意が必要です。この文を自分が一から作って喋る時は完全文か不完全か誰も教えてくれないからです。
結局のところ、正しく判断するには
- 文の意味
- 語と語の結びつき
- 文構造
を総合的に理解している必要があります。
完全文・不完全文という考え方はあくまで形式的な補助輪のようなもので、英語を読んだり話したりするうえであまり重要ではないのです。

不完全文だからこう、じゃなくてなんで不完全文になっているのかを考えるのが大事ってことだね
完全文・不完全文 まとめ
完全文・不完全文とは主に関係詞節の中で本来入るはずの文の要素が欠けているかどうかを説明するための便宜的な分類です。
関係代名詞は文中の名詞の代わりに主語や目的語の役割を果たすため、節の中ではその要素が表面に現れません。この状態を説明するために不完全文という言葉が使われます。
ただし、これは結果としてそうなっているだけであり、不完全文であること自体に特別な意味があるわけではないことがポイントです。
また、主格の関係代名詞が使われる場合の文の形は完全文になります。
そのため関係副詞は完全文、関係代名詞は不完全文という覚え方は誤解を生みやすく、実際の英文理解にはほとんど役に立ちません。
形式よりもまず、動詞の性質や文構造、語と語の関係を理解することが大切です。それが結果として関係詞の使い分けにも繋がってくるのです。

知ってて損はないけどね

まあ、得することもないよ
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