英語を学習していると、受動態にできる動詞とできない動詞があることに気付きます。
この違いを生み出しているのは自動詞・他動詞という動詞の性質です。
英語の受動態は、動作の対象に焦点を当てて出来事を捉えなおす表現ですが、自動詞は原則として直接の目的語を必要としないため、基本的には受動態にすることができません。
ところが自動詞であっても、前置詞と組み合わさりひとまとまりの動詞のように働く場合には受動態の形をとれることがあります。
この記事では、自動詞と他動詞の本質をおさらいし、受動態との関係性について例文を用いてわかりやすく解説します。

つまり何の役に立つの?

自動詞・他動詞は、現在分詞(ing形)や to不定詞といった他の文法で役に立つよ。英語力を効率よく伸ばしたいなら必須の知識だね。
自動詞・他動詞とは
英語の自動詞とは、直接の目的語を必要とせずそれだけで動作が完結する動詞です。一方で他動詞は、動作の対象となる目的語を必要とする動詞です。
- 自動詞:主語 + 動詞(意味を補う必要がない)
- 他動詞:主語 + 動詞 + 目的語(意味を補う必要がある)
目的語とは動作や行為の対象となる語句のことで、日本語では「〜を」「〜に」にあたる部分です。英語では通常、動詞の直後に置かれる名詞や名詞句が目的語になります。
言い換えると、自動詞とは直後に名詞を置くことができない動詞のことで、他動詞とは基本的に後ろに名詞を置く必要がある動詞のことです。
Fish swim.
(魚たちは泳ぐ。)
▸ 他の語で意味を補わなくても文が成立する
I make cookies.
(私はクッキーを作る。)
▸「私は作る」だけでは文が成立しない →「クッキー」という目的語が必要
Fish swim. のように自動詞は、他の語を必要とせずそれだけで文が成立します。
ただし、文章の内容を詳しくするために、後ろに前置詞句を伴い、動作の場所・対象・方向などを補足的に説明することがよくあります。
Fish swim in the pond.
(魚たちは池で泳ぐ。)
▸ 前置詞句:in the pond が動作が起きた場所を説明している

自動詞の直後には名詞じゃなくて前置詞が来てるのがポイントだね!
自動詞・他動詞と受動態
英語の受動態は、動作の対象を主語に置き出来事を捉えなおす表現です。
そのため、直接的に目的語をとらない自動詞は原則として受動態にできず、他動詞だけが受動態を作ることができます。
A thief stole the painting.
(泥棒がその絵画を盗んだ。)
→ The painting was stolen by a thief.
(その絵画は泥棒に盗まれた。)

自動詞の文(例:Fish swim.)は新たに主語にできるものが無いから受動態を作れないよ
自動詞が受動態として使われるケース
通常、自動詞の文は目的語を取らず、新たに主語にするためのものがないため受動態にすることはできません。
しかし、「自動詞 + 前置詞」の組み合わせが1つの他動詞のように働く場合、その前置詞の目的語を主語にして受動態を作ることができるのです。
これを前置詞受動態と呼びます。
この時に注意しなければならないのは、主語になるのは前置詞の目的語だけであり、前置詞そのものは元の位置から動かないということです。「自動詞 + 前置詞」が1つの他動詞として扱われるからです。
例文で確認してみましょう。
Many people listened to his speech.
(多くの人が彼のスピーチを聞いた。)
→ His speech was listened to by many people.
(彼のスピーチは多くの人に聞かれた。)
▸ listened to が1つの他動詞として扱われている
They talked about the issue at the meeting.
(会議でその問題について話し合った。
→ The issue was talked about at the meeting.
(その問題は会議で話し合われた。)
▸ talked about が1つの他動詞として扱われている
前置詞受動態にはいくつかの注意点があります。
まず、すべての「自動詞 + 前置詞」の形が受動態になるわけではありません。あくまで意味が自然に通るものに限られます。
さらにこの表現は、やや堅い響きを持つため日常会話ではあまり使われず、主にフォーマルな文脈で見られることが多いのも覚えておきましょう。

よく使われる前置詞受動態としては be listened to や be talked about があるよ!
自動詞・他動詞の見分け方
前提として、自動詞か他動詞かを見分けること自体は英語力の伸びに直結しません。
文章を読むときであれば「目的語があるから他動詞だ」といった判断ができますが、実際に自分で英文を作る場面では、伝えたい内容を表す動詞が自動詞か他動詞かを知らなければ正しい英文を組み立てることができないからです。
以下の様な TOEIC part 5 形式の例題を見てみましょう。
The new marketing strategy will be ______ at the next board meeting.
(A) talked
(B) discussed
(C) spoken
(D) told
この問題では be動詞の後ろに入る選択肢がどれも過去分詞なので、正解は受動態を作れる他動詞だとわかりますが、どれが他動詞なのかを知らなければ解くことはできません。
この中で他動詞なのは
- (B) discussed
- (C) spoken
- (D) told
ですが、正解である (B) discussed を選ぶには、 tell が基本的に人を目的語にとる動詞であり、spoken は「言語が話される」のような文脈で使われるという知識が必要です。

自動詞・他動詞を見抜けても、用法を知らないと意味ないってことだね

こればっかりは覚えるしかないね~
また、自動詞か他動詞かを見分ける際には注意すべき点として、1つの動詞が自動詞と他動詞の両方の用法を持つことが多いという事実もあります。
He runs.
(彼は走る。)
▸ 他の語で意味を補わなくても文が成立している = 自動詞
He runs a restaurant.
(彼はレストランを経営している。)
▸ a restaurant がないと意味が成立しない = 他動詞
例えば自動詞の run は「走る」、他動詞では「~を経営する」と意味自体が変わります。
このように同じ動詞でも用法によって意味が切り替わるため、ただ自動詞か他動詞かを区別するだけでは不十分です。それぞれの意味と用法をセットで覚えることが重要です。
また、よくある見分け方として、自動詞は直後に前置詞が来ると説明されることがあります。そのため、前置詞がある = 自動詞と説明するサイトも多いのですが、この見分け方には注意が必要です。
なぜなら、実際の英語では「動詞 + 前置詞」がひとまとまりで意味を持つ句動詞が非常によく使われるからです。
The plane took off at 7 p.m.
(その飛行機は午後7時に離陸した。)
▸ take off の自動詞用法(離陸する)
He took off his shoes before entering the house.
(彼は家に入る前に靴を脱いだ。)
▸ take off の他動詞用法(~を脱ぐ)
このように前置詞があるから自動詞とは一概に言えないのです。
そのため、見分け方のルールを覚えるよりも、動詞ごとの用法を1つずつ地道に覚えていく方が結果的に英語力は伸びます。

単語帳や辞書にも自動詞・他動詞の区別や意味が記載されているから単語を覚える時に確認してみよう!

学問に王道なしってことだね
▸ 句動詞の覚え方
間違いやすい自動詞・他動詞
ここまで見てきたように、自動詞か他動詞かを見分けることよりも動詞ごとの用法を覚えていくことのほうが重要です。
そこで、特に英語学習者が間違えやすい自動詞・他動詞のペアを紹介します。
自動詞 lie と他動詞 lay の違い
| 現在形 | 過去形 | 過去分詞 | 意味 |
|---|---|---|---|
| lie | lay | lain | 横たわる / 存在する |
| lay | laid | laid | ~を横たえる / ~を置く / ~を産む |
自動詞の lie と他動詞の lay は綴りや発音が似ているだけでなく、自動詞 lie の過去形が lay になるため注意しましょう。
以下の例文で確認してみましょう。
We came to a small valley, in which lay that town.
(その町がある小さな峡谷まで来た。)
一見すると lay の後ろに名詞 that town が来ているため他動詞の lay だと勘違いしやすいですが、それだと意味が通らず不自然な文になってしまいます。
この文構造は言い換えると where that town lay と同じであり、ここで使われている lay は自動詞 lie(存在する)の過去形であることがわかります。
大切なのは動詞ごとに自動詞なのか他動詞なのかを正しく覚えておくことです。これが正しい英文を組み立てるための土台になります。

ちなみにこの lay と that town は倒置だよ

自動詞 lie には「嘘をつく」という意味もあるけどその場合は lie – lied – lied と動詞が規則変化する点にも注意だね!
自動詞 rise と他動詞 raise の違い
| 現在形 | 過去形 | 過去分詞 | 意味 |
|---|---|---|---|
| rise | rose | risen | 上がる / 昇る / 立ち上がる |
| raise | raised | raised | ~上げる / ~を育てる / ~を集める |
自動詞 rise と他動詞 raise も英語学習者がよく混乱する動詞の一つです。
rise は自動詞なので何かが自然に上がるニュアンスがあります。一方で他動詞である raise は目的や意思を持って何かを上げる点がポイントです。
The sun rises in the east.
(太陽は東から昇る。)
The company raised salaries last year.
(その会社は昨年、給料を上げた。)

余談だけど、似た自動詞に arise(生じる)もあるよ!ややこしいね!
自動詞・他動詞 まとめ
英語の動詞は、文の中での働き方で自動詞と他動詞に分けることができます。
- 自動詞:直接の目的語を必要としない動詞
- 他動詞:動作の対象となる目的語を必要とする動詞
受動態は動作の対象に焦点を当てる表現であるため、原則として他動詞だけが受動態を作ることができます。
ただし、「自動詞 + 前置詞」がひとまとまりで他動詞のように働く場合には、前置詞受動態として受動態を作ることが可能です。
多くの動詞は、自動詞用法・他動詞用法の両方を持ち合わせています。
そのため、見分け方だけを覚えても実際の運用には役立ちません。動詞は意味と用法をセットで覚えることが、英語力を伸ばすための近道になります。

自動詞か他動詞かで大きく意味が変わる動詞もあるから見分け方を覚えるんじゃなくて、単語を覚える時に一度辞書を引くのがおすすめだよ!

That’ll do.
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