英語の助動詞として知られる shall と should には実は法助動詞という名前があります。
法を簡単に説明すると、話し手がその出来事をどのように捉えているか、どの程度現実のものとして扱うかというスタンスを動詞の形や助動詞を使って表す仕組みのことです。
つまり、義務や推量といった複数の用法を持つ shall や should という助動詞の中心には共通する概念があることを表しています。
この核心的なニュアンスを理解すれば、
- 推量・義務といった用法の違い
- shall と should の違い
- should と ought to の違い
を暗記する必要はなくなります。
shall と should の本質を掴んで、効率的に助動詞を攻略していきましょう。

つまり何の役に立つの?

仕組みが分かれば使い分けには困らないよ
法助動詞 shall の使い方
shall と言えばまず思い浮かぶのが Shall we dance? ではないでしょうか。言い換えれば、それ以外の場面で shall を耳にする機会はないと思います。
実際に聖書・法律・契約書などの文言としては使われることはありますが、日常会話で肯定文として使われることはほとんどありません。
これには法助動詞 shall が「そうなることが最初から決まっている」という運命的な見方・スタンスを表す点が関係しています。
運命とは自分の意志では変えられない(そうせざるを得ない)ことを意味します。つまり shall は単なる意志や予定を表す will よりもさらに強く堅苦しい響きを持っています。
そのため、現代ではより簡潔で直接的な will を使うことが主流になり、shall は形式的あるいは文学的な表現に限って使用されるようになったのです。
We shall die.
(私たちは死ぬだろう。)
▸ 避けられない運命を表している
I shall return.
(私は必ず戻ってくる。)
▸ GHQ 最高司令官マッカーサーが残した言葉:
必ず戻る運命 = そうなると確信している

ちなみに shall not の短縮形は shan’t だけど、日常会話では won’t を使うのが一般的だよ
疑問文の shall
疑問文の shall は「~するのが運命でしょうか?」 = 「したほうがいいので~しましょうか?」くらいのニュアンスで使われます。
そのため、肯定文で shall が使われることはほとんどありませんが、疑問文では Shall I ~? と Shall we ~? の形が決まり文句として現在でも使用されています。
Shall I ~? は「私が~しましょうか」という上品かつ丁寧な提案や申し出を表します。
ただし少しかしこまった響きがあるため、日常会話では Do you want me to ~? を代わりに用いることが一般的です。
Shall I open the window?
(窓を開けましょうか?)
Do you want me to open the window?
(窓開けて欲しい?)

Do you want me to ~? は失礼に聞こえると思われがちだけど、Do you want me to heat it up?(温めますか?)みたいに接客でも使われる、ちょうどよく丁寧な表現だよ
一方で Shall we ~? は「一緒に~しませんか?」という意味を表します。Let’s ~ の丁寧な言い方と考えると分かりやすく、意味もほとんど同じです。
そのため、Shall we ~? の返答として Yes, let’s. / No, let’s not. のように Let’s ~ と同じ形で答えることができます。
また、 Let’s ~ の付加疑問文として shall we? を使うこともあります。
Shall we start the meeting?
(会議を始めましょうか。)
Let’s start the meeting, shall we?
(会議を始めてもいいですよね?)
▸ 付加疑問文とは
法助動詞 should の使い方
あまり知られていませんが法助動詞 should は元々 shall の過去形です。
その一方で現代では shall よりも should の方が広く使われているように、should は単純に shall よりも時間的に過去であることを示しているわけではありません。
これは、あえて現在の文脈で過去形を使うことで話し手がその出来事を現実から少し距離を取って見ていることを示しています。
つまり、should の中心には shall の持つ運命という仰々しいニュアンスから一歩引いた、「もしそうなる運命ならば」という控えめな見方があることがポイントになります。

否定形 should not は shouldn’t と短縮されることも覚えておこう
義務を表す should
shall の運命だからそうせざるを得ないというスタンスは非常に仰々しく重たいトーンがあり、日常会話では一般的に用いられません。
一方でそれよりも控えめな should は、もしそうなる運命ならば当然そうすべきだというアドバイス的な表現になります。
この「~すべき」という言い方は一見すると高圧的にも思えますが、実際のところは話し手が神の意志(運命)を代弁しているに過ぎないという点がポイントです。
つまり、話し手自身が強制している訳ではないため、should は目上の人に対しても使うことができるのです。この点が、同じく義務を表す must とは異なります。
You should apologize to her.
(彼女に謝るべきだよ。)
I think you should talk to the manager about it.
(その件については、マネージャーにご相談されるのがよろしいかと思います。)

~すべき・しなさいというよりかはそのほうが絶対いいよって感じだね
推量を表す should
should には「~のはずだ」という推量を表す用法もあります。ここでも根底にあるのはもしそうなる運命ならば当然そうあるべきだ = そうなるはずだという考え方です。
~すべき(義務)と~のはずだ(推量)という日本語訳だけが先行して should が持つ2つの意味はまったく別のものだと思われがちです。
しかし、実際には文脈によって should の訳し方が異なるだけで、もしそうなる運命ならばという本質的な部分は共通していることがポイントです。
He should know the answer.
(彼なら答えを知っているはずだ。)
▸ 普通に考えて当然答えを知っているはず = 当然知っているべき
Monday should work for me, but I need to confirm my schedule.
(月曜日ならいけるはずだけど、一応予定を確認させて。)
▸ 予定通り行けば、当然空いているはず

この work は 機能する / うまくいく という意味だよ
感情を表す should
should には他の法助動詞にはない独特な用法があります。それが感情の should です。
感情の should は強調構文で使われ、話し手の感情を表す形容詞に対して「当然のように~するなんて」という驚きや、「~するのは至極当然だ」といった納得を表します。
つまり感情の should は、話し手の主観的な感情をさらに強めるために用いられ、「~すべき」や「~のはずだ」のように訳されることはありません。
It is surprising that he should say such a thing.
(彼がそんなことを言うなんて驚きだ。)
▸ さも当然かのように言った → ありえない!
It is only natural that she should feel nervous.
(彼女が緊張するのは至極当然だ。)
▸ 当たり前のように緊張している → やっぱり!

普通ならこうだよねという、主観的だけど実はみんなもそう思ってるよねって気持ちが should には込められてるよ
should, ought to, had better の違い
「~すべき」と訳される語句は should の他に ought to と had better があり、使い分けに困っている方も多いのではないでしょうか。
義務を表す ought to と should はどちらもアドバイス的な表現として使われ、意味の上で大きな違いはありません。しかし、実際には should が選ばれる場面が圧倒的に多いです。この差は should が持つニュアンスにあります。
法助動詞の should は話者の主観的なアドバイスを表します。
対照的に ought to は動詞から成り立つ表現です。should と比べると客観的な義務や責任を描写する傾向があり説教臭く聞こえやすいため、日常会話では should の方が好まれるのです。
You should reduce salt intake.
(塩分を控えるべきだ。)
▸ という話し手の主観的な判断(押しつけているわけではない)
You ought to reduce salt intake.
(塩分を控えるべきだ。)
▸ 客観的に見て普通はそうすべき(少し押しつけがましい)

主観的 vs 客観的ってことだね
一方で had better は should, ought to とは意味の上で明確に区別されます。
had better は「もし~しなければ、悪い結果になる」という否定的な結果を前提とした表現で、アドバイスよりも警告に近いことが特徴です。
「~しなければならない」という義務を表す must と比べても、相手に直接向けた圧の強い言い方になりがちでフォーマルなシーンでは避けられる傾向にあります。
口語では You’d better のように、had が省略されて使われることが多い点も覚えておきましょう。
You’d better reduce salt intake.
(塩分を控えるべきだ。)
▸ そうしなければ大変なことになるという警告(かなり押しつけがましい)

had better の意味や形がこうなった理由は、歴史の中で複数の用法が複雑に絡み合った結果なんだけど、これ以上はややこしい割には現代の英語を学ぶうえで特に役に立たないから追及しなくていいよ

そうなっちゃったからそうってことだね
shall と should まとめ
法助動詞 shall の核心には運命であるという話し手のスタンスがあります。
このニュアンスは非常に仰々しいため、聖書や法律関連の書類などの硬い文言として使用されることが多く、日常会話では基本的に will で代用されます。
過去形である should は単純に shall よりも時間的に過去であることを表しているわけではなく、現在の文脈であえて過去形を使うことで shall よりも一歩引いた「もしそうなる運命ならば」という話し手のスタンスを表します。
should が表す義務や推量といった意味は文脈によって訳され方が異なるだけで、このニュアンスは共通しています。
よく議題に挙げられる ought to との違いもこの主観的なニュアンスが関係しており、should を使いこなすうえで重要なポイントになっています。

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