英語の名詞は、
可算名詞:はっきりとした形があり数えられる
- 普通名詞:1つのモノ・単位として数えられる名詞(pen, apple など)
- 集合名詞:同じタイプの人・モノの集まりを表す名詞(family, team など)
不可算名詞:はっきりとした形がなく数えられない
- 抽象名詞:一定の形がなく、抽象的な概念を表す名詞(music, happiness など)
- 物質名詞:形はあるが、区切ることのできない名詞(water, wood など)
- 固有名詞:特定の人やモノの名前を表す名詞(Dr. Smith, Tokyo University など)
のような種類があると教えられます。
だから何だと言うのでしょうか。英語を読むとき・喋るときにいちいちそんなことを考えている人はいません。名詞は名詞です。
多くの日本人学習者がいつまでたっても英語を話せない理由はここにあります。
大事なのは名詞の種類ではなく、文の中で名詞という語句がどのように使われるかです。
実際に集合名詞でも不可算名詞になるものがありますし、物質名詞が可算名詞になることもあります。
必要なのは知識の整理ではなく、それをどう使うのかということです。

用語の暗記だけが文法じゃないってことさ
名詞の役割
名詞とは、モノや人の名前・出来事そのものを表す語句です。
そこから前述のように分類されることがありますが、大切なのは文の中での働きはどれも変わらないということです。
具体的に、名詞は文の
- 主語 :動作や状態の主体
- 補語 :主語の状態や性質を説明する
- 目的語:動作や出来事の対象になる
になります。
そしてこれには、to不定詞のような名詞句や、間接疑問文のような名詞節といった1つの名詞として機能する語句も含まれます。
その名詞が普通名詞か抽象名詞かは重要ではありません。
第2文型や第3文型といったルールがあるように、名詞は文で使われる位置と役割が決まっていることが重要なのです。
つまり、英文を読むときも作るときも、名詞である = 主語・補語・目的語になることを意識すれば自然と文の構造と意味が見えてきます。
以下の例文で確認してみましょう。
What is important is to think about how nouns work in a sentence.
例えばこの文では、is, is, think, work のように動詞が複数登場するため、文の主語や伝えたい内容を見分けるのが難しく感じられます。
そこでまずは、名詞として機能する語句を拾ってみましょう。この中で名詞として扱われるのは、
- 関係詞節:What is important
- to不定詞:to think about how nouns work in a sentence
- 間接疑問文:how nouns work in a sentence
です。これを知っているだけで、SVC や SVO といった文型を考えなくても主語と補語を見つけ、意味を読み取ることができます。
主語は基本的に文頭に置かれますが、この文の頭にあるのは関係詞節 What is important です。そのため、文全体の主語は「大切なこと」であると分かります。
そこから、主語(関係詞節)の後ろに続く動詞 is は文全体の述語(動詞)だと見抜くことができ、その後ろに続く、to think about ~ が表す内容が補語だと分かります。
この文全体の中心的な意味は、「大切なこと = ~について考えること」ということです。
この to think about ~ には「~について」にあたる、名詞として機能する目的語が必要です。その役割を果たすのが間接疑問文です。
文中での名詞の役割を理解していれば、「名詞がどのように文の中で働くか」について「考えること」が「大切なこと」であるとすぐに読み取ることができるのです。
What is important is to think about how nouns work in a sentence.
(大切なことは、文の中での名詞の働き方を考えることだ。)

どの語句が名詞になるかさえ覚えておけば、英文読解なんて楽勝だよ

どんな名詞かじゃなくて、「名詞であること」自体に価値があるのがポイントだね
可算名詞と不可算名詞の使い分け
名詞の文での働き方が大事なのであれば、なぜ可算名詞や不可算名詞のように名詞を分類する必要があるのでしょうか。
- 可算名詞:はっきりとした形があり数えられる
- 不可算名詞:はっきりとした形がなく数えられない
日本語では、モノを数える時に「1つ」「1個」のように助数詞を伴います。英語でこれに近い役割を持つのが a や an です。
例えば日本語で「水が1つある。」とは言わないように、英語でも文脈によって a や an をつけると不自然な単語があります。
こうした違いを区別するために、名詞が表す内容によって大まかに分類しているのです

…が、
不可算名詞の代表例としてよく扱われる water は、実際には可算名詞のように a water という形で登場することがあります。
例えば日本語でも、レストランなどでは「水を1つください。」と言えるように、英語でも Can I have a water? と言うことができるのです。
つまり可算名詞・不可算名詞とは、「数えられる・数えられない」や「形がある・ない」ではなく「数えるか・数えないか」という話し手の認識の違いということです。

実際、多くの名詞は可算名詞・不可算名詞の両方の用法があるからね

例えば experience とか problem とか、可算か不可算かを見分けること自体は重要じゃなくて、それをどう捉えているが大事ってことだね
可算名詞の単数形と複数形
可算名詞のややこしいところは、いくつ数えるかによって名詞の形が変わるところです。
- 対象が1つの場合 :a / an といった冠詞が必要
- 対象が2つ以上の場合:名詞の語尾に s または es をつける(a / an は不要)
s なのか es なのかは名詞の語尾によってある程度の規則性がありますが、普通名詞や抽象名詞のような分類と同じで、意識して使うものではないので覚えなくて大丈夫です。

例外もたくさんあるから単語ごとに覚えた方が早いよ
ここでは、
- 単数形でしか使わない表現
- 複数形でしか使わない表現
- 単数形と複数形で意味が変わる名詞
- 単数形と複数形でスペルが変わらない名詞
- 複数形で単数扱いする名詞
といった、特に注意すべきものをご紹介します。

単数形・複数形でも捉え方が大事なのは変わらないよ!
単数形でしか使わないケース
割合を表すパーセントやドル・円といった通貨、一・十・百・千・万といった単位として使われる名詞は、数値を1つのまとまりとして捉えるため単数形で扱われます。
About 70 percent of people answered the question.
(およそ70% の人が質問に答えた。)
▸ 70 という数字を1つのまとまりとして捉えている → percents にはならない
Two hundred million yen was stolen.
(2億円が盗まれた。)
▸ 2億円という1つのまとまり → hundreds, millions, yens にはならない

hundred や million は、数として特定できない漠然とした量を表す時は
- hundreds of ~:何百もの~
- millions of ~:何百万もの~
- hundreds of millions of ~:何億もの~
のように複数形になるよ
複数形でしか使わないケース
何かと何かを交換したり・交代することを表す表現は、1人・1つだけでは成立しないため原則として複数形で使われます。
We shook hands.
(私たちは握手した。)
▸ 手が2つないと握手できないので複数形
You need to change trains at Tokyo Station.
(東京駅で電車を乗り換える必要があります。)
▸ 電車が2つないと乗り換えられないので複数形
単数形と複数形の意味が違う名詞
ここまで見てきたように、名詞が表す内容をどのように捉えるかで単数で扱うか、複数で扱うかが変わります。
そのため、一部の名詞には単数形と複数形で表す意味が異なるものがあります。
| 名詞 | 単数形の意味 | 複数形の意味 |
|---|---|---|
| minute / minutes | 瞬間 | 議事録 |
| custom / customs | 習慣・慣例 | 関税・税関 |
| arm / arms | 腕 | 武器 |

数が増えたんじゃなくて、捉え方が具体化しているのがポイントだね
単数形と複数形で綴りが同じ名詞(単複同形)
可算名詞の中には単数形と複数形で形が変わらないものも存在します。代表的なものは以下のとおりです。
| 単数形 | 複数形 | 意味 |
|---|---|---|
| a fish | fish | 魚 / 魚類 |
| a sheep | sheep | 羊 |
| a deer | deer | シカ |
このような名詞は、狩りの対象だったものが多く含まれています。
一匹一匹を厳密に数えるよりも、群れや獲物としてまとめて捉えられることが多かったため、単数形と複数形を形で区別する必要があまりなく、同じ形で定着した名詞です。

一匹の魚として捉える時は a fish と言うよ。複数形の fish は数えられないからじゃなくて数を区別していないだけだね
複数形で単数扱いする名詞
例えばアメリカやオランダは1つの国ですが、複数の州(state)や領地(land)から成り立っています。そのため、これらは
- the United States (of America)
- the Netherlands
のように複数形で表記される一方で、単数形として扱われます。
また、例えば数学のように、三角関数・微分積分といったいくつかの分野の総称としての学問も単数形として扱われます。
- mathematics:数学
- physics:物理学
- statistics:統計学
これらは、三人称単数現在形の主語として使われる場合は動詞に三単現の s が必要なことがポイントです。
The United States plays an important role in the socio-economic field.
(アメリカは社会経済の分野において重要な役割を果たしている。)
▸ 主語(states)は単数ではないが plays を使っている
Physics is not my area of expertise.
(物理学は専門じゃない。)
▸ 主語(Physics)は単数ではないが is を使っている

a crowd of people みたいに、複数の何かが集まって1つになっていることがポイントだね!

ちなみに同じ考え方で、
- billiards:ビリヤード
- measles:はしか
なども単数形で扱うよ
不可算名詞の使い方
不可算名詞は、1つであることを表す a や an といった冠詞が必要ではありません。
ただし、これは数えられないわけではなく、話し手が数を重要視していないだけです。
「それがいくつあるか」ではなく、「そういうひとまとまりの概念・存在」として捉えているのです。そのため、不可算名詞が主語になる場合は単数形と同じ振る舞いをします。
Wealth doesn’t mean happiness.
(お金を持っていることが幸せなのではない。)
▸ wealth は不可算名詞だが、don’t ではなく doesn’t を使っている

「裕福であること」というひとまとまりの概念に言及しているんだね
a glass of water や a slice of cheese といった表現も、一見すると不可算名詞を数えているように見えますが、実際に数えているのはそれら概念を収納するための器である、グラスの数や一切れの枚数です。
つまり、水やチーズといった包括的な概念そのものを数えるよりも、先に数えるべき単位があるからこのような形になるのです。
ただし、このような外側の単位を数えている場合と、名詞そのものの捉え方が切り替わっている場合は明確に区別する必要があります。
言い換えると、捉え方次第で
- 不可算名詞になる可算名詞
- 可算名詞になる不可算名詞
- 可算・不可算で意味が変わる名詞
のような例外も存在するということです。
不可算名詞になる可算名詞
例えば family や team のような集団を1つのまとまりとして捉える集合名詞は基本的に可算名詞として扱われ、families や teams のように複数形にすることができます。
これらは役所や試合の手続きなどで、どこからどこまでが家族やチームなのかをはっきりとさせ、個別に扱う(まとまりを1つの単位として数を意識する)必要があるからです。
一方で、
- baggage / luggage:手荷物
- furniture:家具
- clothing:衣類
といった集団を指す集合名詞は不可算名詞として扱われます。
例えば furniture が意味する、家具という言葉には
- テーブル
- ベッド
- タンス
などが含まれていますが、どこからどこまでが家具で、どこからどこまでが家具ではないのかを考え、それぞれを個別に扱う必要がないからです。
She bought so much clothing that she had it all delivered.
(彼女はあまりにもたくさんの服を買ったので、それらを配送してもらった。)
▸ 不可算名詞なので much, it が使われている点に注意
How many pieces of luggage do you want to check in?
(いくつお荷物を預けますか?)
▸ 不可算名詞なので複数形は存在しない

baggage や furniture が不可算名詞なのはそもそも数える必要がないからってことだね

だから可算名詞になることはないよ
可算名詞になる不可算名詞
個別に扱う必要がない(数える必要がない)名詞は不可算名詞として扱われます。
言い換えると、不可算名詞でも個別に扱う必要がある(数える必要がある)場合は可算名詞になります。
これは特に、不可算名詞が形容詞を伴って同種のものとは区別され、境界がはっきりする場合に起こりやすいことがポイントです。
Education enriches the mind.
(教育は心の豊かにする。)
▸ 教育というひとまとまりの概念を指している = 不可算名詞
The school offers a balanced education.
(その学校はバランスの良い教育を提供している。)
▸ 一般的な概念ではなく、1つの教育のあり方を指している = 可算名詞

数を意識するか・しないかという捉え方の違いがポイントだね!
可算・不可算で意味が変わる名詞
可算名詞・不可算名詞のどちらで使われるかは、話し手の捉え方の違いにあります。
この捉え方の違いから、可算名詞として使われる場合と不可算名詞として使われる場合で意味が異なる名詞も存在します。
| 名詞 | 可算名詞の意味 | 不可算名詞の意味 |
|---|---|---|
| room | 部屋 | 空間 |
| rabbit | うさぎ | うさぎ肉 |
| water | 水域(通例 waters) | 水 |
| work | 作品(通例 works) | 仕事 |
| content | 目次(通例 contents) | 内容 |

可算名詞の意味はどれも具体化されていて、数が重要になっているね
同じ単語でも捉え方が異なるため、特に単数形の場合、読解やスピーキングの際には a, an といった冠詞があるかないか(可算か不可算か)に気を付けなければなりません。
例えば rabbit は、可算名詞として使う場合は a rabbit のように a をつけることで個別のうさぎであることを示します。これが不可算名詞として rabbit 単体で使われる場合、個体を識別する必要がなくなり、うさぎ肉という意味になります。
そしてこの考え方は、うさぎだけでなく他の動物にも当てはまります。日本人の英語学習者がよくミスしがちなのがここです。
以下の例文で確認してみましょう。
I like a cat.
(私は猫が好きです。)
I like cat.
(私は猫の肉が好きです。)

うさぎならともかく、絶対に冠詞を忘れないように!
名詞の所有格
英語の名詞は「 ‘s 」を後ろにつけることで、その後ろに続く別の名詞に誰の・何の~という情報を付け加えることができます。例えば、
- student’s bicycle:生徒の自転車
- Edwards’s adventure:エドワードの冒険
といった感じで、s で終わる単語も対象になります。
ただし、複数形の単語は一般的にアポストロフィ「 ‘ 」だけが使われる傾向にあります。
- students’ well-being:生徒たちの健康
- parents’ house:両親の家

student’s と students’ の発音は同じだから、話し言葉の時は文脈で判断しよう!

ちなみに s で終わらない複数形の名詞は s をつけるよ
- children’s birthday:子供たちの誕生日
- people’s awareness:人々の意識
所有格の ‘s と of の違い
名詞の所有格を表す ‘s と似た表現に of があります。「A の B」と言う場合、それぞれ
- A’s B(例:the girl’s voice)
- B of A(例:the voice of the girl)
という形を取ります。日本語にすると違いが見えにくいですが、そのニュアンスには微妙な差があります。
the girl’s voice は the girl が意味の中心にあり、それが所有する voice も結果として意味の中心に含まれます。voice が girl を形作る要素であることを示しているのです。
一方で the voice of the girl は voice を先に提示し、それに対して of the girl という補足情報を後ろから付け加えています。
voice はあくまで意味の中心として独立しており、girl を構成するための要素ではない(所有を表していない)ということです。まとめると、
- A’s B:A から連想される B を紐づける(B は A の要素)
- B of A:B が含まれる範囲を A に限定する(B は A の要素ではない)
という違いがあります。つまり、特定の何かを連想することができない漠然とした概念に対して ‘s を使うことはできません。
例えば、ace of spades(スペードのエース)とは言いますが、spades’ ace と言うことはありません。
言い換えると of は、人や生物ではない、漠然とした概念を表す無生物の名詞と相性が良いということです。

スペードには1~13まで数字があって、1と結びついているわけではないからね

逆に today’s weather みたいに無生物でも ‘s が使えるのは、連想できるもの(今日の天気)が1つしかないからだね
名詞の使い方 まとめ
英語の名詞は、普通名詞・抽象名詞といった種類で理解するものではありません。
大事なのは、その名詞(名詞として機能する語句)がどのような役割を担っているかです。名詞は文の中で、
- 主語
- 補語
- 目的語
のいずれかになります。
また、可算名詞・不可算名詞といった使い分けも、話し手が数を意識して捉えているかどうかという役割の違いから来ています。
「どんな名詞か」ではなく、「名詞としてどのように使われているか」を考えることが、英語力を底上げする一番の近道です。

可算か不可算か、単数か複数かで伝わる内容が違うのと、それが置かれる位置が決まっていることがポイントだね

Nouns are pretty simple, you know?
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