must と must not の使い方完全攻略パーフェクトガイド

助動詞

英語の助動詞として知られる must には実は法助動詞という名前があります。

法を簡単に説明すると、話し手がその出来事をどのように捉えているか、どの程度現実のものとして扱うかというスタンスを動詞の形や助動詞を使って表す仕組みのことです。

つまり、義務や推量といった複数の用法を持つ must という助動詞の中心には共通する概念があることを表しています。

この核心的なニュアンスを理解すれば、

  • 義務・推量といった用法の違い
  • must と have to の違い
  • must にはなぜ過去形がないのか

といった疑問をすべて説明することができます。

must の本質を掴んで暗記英語から卒業し、効率的に助動詞を攻略していきましょう。

<strong>くろねこ</strong>
くろねこ

つまり何の役に立つの?

<strong>おさかな</strong>
おさかな

仕組みが分かれば使い分けには困らないよ

法助動詞 must の使い方

法助動詞 must が表すのはこれしかないという強い話者の固執・必然性のスタンスです。

そこから must は、「~しなければならない」という強い義務感や、「~に違いない」という断定的な推量を表す際に使用されます。

同じ義務を表す should には、やや俯瞰的でアドバイスに近いニュアンスがあります。対して must には「これしかないから~しなければならない」と、目先の状況に強く引きずられた話し手の思い込みが含まれています。

そのため、聞き手には少し命令的で脅迫めいた強さを感じさせることがあります。

<strong>おさかな</strong>
おさかな

お願いする時に must は使わないほうが無難だね

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義務を表す must

前述のとおり、must にはこれしかないという見方を表しています。

そのため「これしかないから~しなければならない」という義務を表す must の用法は、相手を服従させるような命令的で強いニュアンスがあります。should と異なり目上の人に対してや丁寧さが求められる場面では使うことができない点に注意が必要です。

You must be on time for the meeting.
(その会議には絶対に遅刻しないでください。)

You must take your medicine three times a day.
(薬は必ず一日三回服用してください。)

しなければならないという義務感は、「なんとしてでもそうしたい」という強い願望や「~しないなんてありえない = 絶対にすべき」という強い勧誘を表す比喩表現としても使われます。

I must go to Oasis’s reunion concert.
(オアシスの再結成ライブは行くしかないね。)

▸ 行かなければならない = そうしたいという強い願望

You must come to the party.
(絶対パーティーに来てね。)

▸ 絶対にパーティーに来るべき = そうして欲しいという強い勧誘

<strong>くろねこ</strong>
くろねこ

核にはこれしかないという強い固執があることがポイントだね

<strong>おさかな</strong>
おさかな

だから強い勧誘を表す must も丁寧さが求められる場面では避けたほうがいいね

推量を表す must

これしかないという見方を表す must の核心には、「そうに違いない」という推量でありながら断定に近い、強い確信のニュアンスが含まれています。

will が示す「そうなるだろう」という漠然とした未来予測とは異なり、must は目の前の状況や証拠に基づいて「今こうであるに違いない」と結論付ける際に用いられます。

そのため、推量の must は will よりも確信の度合いが高く、今現在の状況から見た結論になりやすいことがポイントです。

He must know the truth.
(彼は真実を知っているに違いない。)

There must be some mistake.
(何か間違いがあるに違いない。)

must と have to の違い

「~しなければならない」と訳される must と have to は、意味の上では大きな違いはありません。しかし、実際のところ現在形では have to が選ばれる場面が圧倒的に多いです。ここでも重要になるのが must が持つニュアンスです。

法助動詞 must は、話し手のスタンスという内的要因を主体にした主観的な義務や結論を表します。聞き手にとっては意見の押しつけや強い要求のように響くことがあります。

一方で、動詞から成り立つ have to は must に比べると状況や規則といった外的要因に基づいた客観的な必要性を描写する傾向があります。

つまり、must はどうしても強く言い切る形になりやすいのです。

そのため、日常会話では角が立つことを避けるために、それが話し手の判断であっても have to が must の代わりに使われる場面が多いです。。

You must go home.
(家に帰らなければならない。)

▸「そう判断した以上帰るしかない」という話し手の主観的な結論

You have to go home.
(家に帰らなければならない。)

▸「帰ってほしいわけじゃないけどそうするしかない」という客観的な必要性

<strong>くろねこ</strong>
くろねこ

must は私がそう思うからそうしなければならないって感じで have to は状況的に考えてそうしなければならないって感じだね

must は他の助動詞と異なり過去形を持たないため、過去のある時点での義務を表す場合は意味の近い had to で代用されることも覚えておきましょう。

You had to go home.
(家に帰らなければならなかった。)

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なぜ must には過去形がないのか

must には can と could のような時制的に対となる助動詞が存在しません。実は語源的には過去形に由来する助動詞だからです。

例えば過去形である could や would が現在の文脈で広く使われているように、法助動詞の過去形は単純に時間的に過去であることを表しているわけではありません

もしかしてという現在形よりも一歩引いた控えめな法助動詞の過去形のニュアンスは、時として直接的な現在形の法助動詞よりも使い勝手が良く、過去形が現在形を押しのけて主要な形になることがあります。

現代の英語で shall よりもその過去形にあたる should が広く使われているのもこの性質によるものです。

must でも同様の現象が起こりました。

その結果、時代とともに現在の形へと変化し、現在形相当の助動詞として再解釈された(置き換えられた)のです。

つまり、文法上は現在形というカテゴリーに属しているにも関わらず must に過去形がない理由は、その中身がもともと過去形だからなのです。

<strong>おさかな</strong>
おさかな

must はかなり異質ってことだね

must と時制の一致

過去の文脈の中では、例えば will → would のように対応する過去形を用いて読み手に内容が伝わりやすいように時制を一致させます

これは出来事の前後関係を明確にするためのもので、意味の上での変化はありません。言い換えると、過去形にしたほうが文脈がわかりやすいので、過去形にできるならしておこうといった感じです。

推量の must には過去形に相当する形がない(have to は推量を表さない)ため、過去の文脈の中でも必然的に must になります。

She said things must be getting busy.
(忙しくなるに違いない、と彼女は言っていた。)

一方で義務を表す must の過去形は似た意味を持つ have to の過去形 had to で代用されます

She said she had to live in Tokyo in April.
(彼女は4月に東京に住まなければいけないと言っていた。)

▸ 過去の一時点における義務

ここでややこしいのが義務の must でも過去の文脈の中で使える場合があるということです。

過去の文脈の中では had to を使えば良いと思われがちですが、時制の一致には過去の内容であってもそれが現在も変わらない事実や現在まで続いていてる状況は現在形で表すというルールがあります。

そのため、過去に発生した義務でもそれが現在も有効ならば had to ではなく must を使うことができるのです。

She said she must live in Tokyo in April.
(彼女は4月に東京に住まなければいけないと言っていた。)

▸ 現在も有効な義務 = これから住む

<strong>おさかな</strong>
おさかな

must には過去形がないからとか、そもそも過去形由来だからとかではなくて、現在形として使われているのがミソだね

must の否定形について

実は法助動詞の否定には内的否定・外的否定という2種類の否定の形があります。

法助動詞を使った文章には助動詞が表す(法)と、動詞が表すその出来事の内容(命題)という2つの要素が同居しています。

内的否定は文章の中身である出来事の内容を否定します。法助動詞が表す話し手の出来事の捉え方自体は否定されません

多くの法助動詞の否定は内的否定として解釈されやすく、must もその内の1つです。

It must not be true.
(本当ではないはずだ。)

▸ 本当ではない(内容の否定)はずだという見方(法)

<strong>おさかな</strong>
おさかな

ちなみに must not は mustn’t と短縮されるよ

一方で外的否定は文章の外枠である、話し手の出来事の捉え方そのものを否定します。

否定文で使われる can’t や cannot がその代表例です。

It cannot be true.
(本当であるはずがない。)

▸ 本当になり得るという見方(法)の否定

推量の must が表す「~に違いない」ことの否定は、can’t または cannot が表す「~のはずがない」という意味の方が断定的で誤解が少ないため、推量の must の否定は基本的に can’t または cannot に置き換えられます

<strong>くろねこ</strong>
くろねこ

推量の must の否定自体は文法的に可能で、絶対に can’t または cannot になるわけではないことも覚えておこう!

また、「~しなければならない(~する必要がある)」という義務を表す must と have to は肯定文では似た意味を表しますが、否定文では意味が大きく異なります

この違いも、内的否定・外的否定という考え方で説明することができます。

内的否定として解釈されやすい must not は、出来事の内容である行為そのものを否定します。つまり、「~してはならない」という強い禁止を表します。don’t have to との対比を明確にすると、「~しない義務がある」と捉えることもできます。

一方で don’t have to は文章の枠組みである出来事の捉え方を否定し、「~する必要がない」という意味になります。不必要であることを表しているのが大きな違いです。

You must not go outside now.
(今出かけてはいけない。)

▸ 出かけない(内容の否定)義務があるという見方(法)

You don’t have to go outside now.
(今出かける必要はない。)

▸ 出かける必要があるという見方(疑似的な法)の否定

<strong>おさかな</strong>
おさかな

否定する部分が違うってことだね

must の使い方 まとめ

法助動詞 must の核心にはこれしかないという話し手の強い固執があります。そこから「~しなければならない」という義務や、「~に違いない」という推量を表します。

義務の must には命令的で話し手の圧を感じさせるニュアンスがあるため、日常会話ではより控えめなニュアンスを持つ have to で言い換えられます。また、同じく義務を表す should のように目上の人に対して使うことはできません。

肯定文では言い換えできるほどに近い意味を持つ must と have to ですが、否定文ではその意味が大きく異なります

法助動詞の否定には、出来事の内容(行為)を否定する内的否定と、出来事の捉え方そのものを否定する外的否定があります。

must not は内的否定を表す傾向にあり、「~してはいけない」という行為の強い禁止を表します。一方で don’t have to は「~する必要はない」ことを表し、行為の必要性があるという判断を否定します。

同様に推量の must は「~でないに違いない」ことを表します。外的否定をとる can’t または cannot が表す「~のはずがない」という意味の方が直接的でわかりやすいため、基本的に推量の must の否定を表す場合は can’t または cannot が使われます

<strong>くろねこ</strong>
くろねこ

なんで can が外的否定で must は内的否定なんだって?

<strong>おさかな</strong>
おさかな

That’s just how it has to be.

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