英語の助動詞として知られる may と might には実は法助動詞という名前があります。
法を簡単に説明すると、話し手がその出来事をどのように捉えているか、どの程度現実のものとして扱うかというスタンスを動詞の形や助動詞を使って表す仕組みのことです。
つまり、推量や許可といった複数の用法を持つ may や might という助動詞の中心には共通する概念があることを表しています。
この核心にある考え方を理解すれば、
- 推量・許可といった用法の違い
- may と might の違い
- may と can の違い
を暗記する必要はなくなります。
may と might の本質を掴んで、効率的に助動詞を攻略していきましょう。

つまり何の役に立つの?

仕組みが分かれば使い分けには困らないよ
法助動詞 may の使い方
法助動詞 may の核となるのは、その出来事を起こり得るものとして捉えるという話し手のスタンスです。
can と同様に「~かもしれない」という推量や「~してもよい」という許可を表しますが、can よりも話し手の判断・評価といった出来事に対する主観的な関与が前面に出やすく、確信の度合いが低いことが特徴です。
may の否定形は短縮されず、may not の形で表される点に注意が必要です。

古い文学作品では mayn’t という短縮形を見かけることもあるけど、現代で使われることはほとんどないよ
推量を表す may
推量を表す may は、話し手がその出来事を現実に起こり得るものとして見込んでいることを表します。
この見込んでいるという部分がポイントで、実際にはそうならない可能性も同時に含んでいます。つまり may と may not の違いは焦点の当て方にあり、起こる・起こらないという考えはどちらも同じくらいなのです。
そのため、よく may は 50% くらいの確率と説明されることがありますが、これはあくまでイメージを掴むための目安であり、大事なのは話し手がその出来事をまだ未確定の可能性があるという捉え方をしている点です。
It may rain tomorrow.
(明日は雨が降るかもしれない。)
▸ 50%で雨が降る = 降らなかったとしても別に変ではない
It may not rain tomorrow.
(明日は雨が降らないかもしれない。)
▸ 50%で雨は降らない = 降ったとしても別に変ではない

推量の may は投げたコインがまだ宙に舞っていて、「オモテ」か「ウラ」かわからない感じだね
許可を表す may
その出来事を現実に起こり得るものとして見込んでいるということは、その出来事を実現させても良いということです。想定の範囲内であるということです。
ここで重要なのは、may が表しているのはできる・できないかではなく、していいか・してはダメなのかというスタンスだという点です。
この点で許可を表す may は can とは異なります。
can は能力や状況に基づく理屈的な個人の判断を表します。立場に関係なくカジュアルに使うことができるのが特徴です。
一方で、許可の may が表すのは話し手の評価です。つまり、話し手が許可を与える立場にあるという意味合いが強く、目上の人に対しては使えないことがポイントです。
許可の may は上からの指示を表しますが、should や must のように義務を伴う強制的な指示ではありません。あくまで「できないなら別に~しなくてもいい」という考え方も同時に含まれている点がポイントです。
Students may use the library after class.
(生徒は放課後に図書館を利用してもよい。)
▸ 放課後なら利用してもいい(別にしなくてもいい)
You may go now.
(もう退出してもいいですよ。)
▸ 退出できるなら = 準備ができたら退出してください

許可の may は「~する権利がある」って感じだね
疑問文の may
許可の may は疑問文で使われると「~してよろしいですか?」という非常に丁寧な依頼を表し、個人的に許可を求めるような響きがあります。
そのため、may の疑問文は原則として May I ~? の形でしか使われません。
ここでポイントになるのが、May I ~? はあくまで礼儀正しく尋ねるための表現で、必ずしも話し手が聞き手より立場的に下である必要はないということです。
例えば、ホテルやレストランなどの接客シーンでは次のように使われます。
May I have your name, please?
(お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。)
May I ask you something?
(少しお尋ねしてもよろしいでしょうか。)
そのため上司と部下、親と子のような上下関係の中で使われる許可の may を用いた「Yes, you may. / No, you may not.」は May I ~? に対する返答としては不自然に感じられる場合があります。

日本語の謙譲語に近いニュアンスだね
明確な上下関係がある場合を除き、実際の会話では次のような言い回しが一般的です。
許可する場合
Sure. / Of course. / Go ahead. など
許可しない場合
I’m sorry, but you can’t. / I’m afraid not. など

Can I ~? に対しても同じ返し方ができるから覚えておくと便利だよ
祈願を表す may
may には推量・許可とは別に、May + S + V の語順で「~でありますように」という願望や祈りを表す用法があります。
May you be happy!
(あなたが幸せでありますように。)
この用法は、疑問文のように文法上必要な倒置ではありません。You may be happy.(あなたは幸せかもしれない。)のように語順を元に戻すと祈願ではなく推量になってしまうからです。
つまり、祈願の may はこういう形の構文だということです。may が使われている理由は、それが現実になって欲しいという話し手のスタンスを表しているからです。

文法は結局後付けのラベルだから、説明できないこともあるのさ
この祈願を表す may は聖書や古典的な祈りの言葉にも多く登場します。もともと神様に許可を求めるような文脈で使われていたため、どこか荘厳で神聖な響きを持っています。
そのため現代でも文学作品や映像、スピーチなどで格式高い雰囲気を演出したい時に用いられることがあります。
May the force be with you.
(フォースと共にあらんことを。)
▸ 映画スター・ウォーズの名セリフ
May god bless America, and may God protect our troops.
(アメリカに神の祝福があらんことを。我らの兵に神のご加護があらんことを。)
▸ アメリカ大統領選(2020)でのジョー・バイデンのスピーチ

祈願の may は、May this letter find you well.(ご健勝のこととお喜び申し上げます。)のようにメールや手紙の挨拶としても使われたりするかなりフォーマルで上品な表現だよ
法助動詞 might の使い方
法助動詞 might は形式上は may の過去形ですが、現在の文脈で使われる場合、時間的な過去ではなく現実との距離感を表します。
あえて現在の文脈で過去形を使うことで、その出来事を現実から少し遠ざけて捉えている話し手のスタンスを示しているのです。
もしかしたら現実に起こり得る、のような may よりも少し控えめなニュアンスを表し、
- 断定を避けたい時
- 控えめな推量
- 丁寧な依頼・提案
- 仮定法
などで使われやすいことが特徴です。
※仮定法で使われる法助動詞(could, would, might, should)自体に特別な意味がある訳ではないため、ここでは仮定法の説明は割愛します。

ちなみに might の否定形 might not も短縮されることはないよ
過去形としての might
might が may の純粋な過去形として扱われるのは、主に時制の一致が必要な場面です。
might が表す推量や許可といった用法は現在の話し手のスタンスを表すため、基本的には現在の文脈で使われます。
形式上では may の過去形ですが、「~かもしれなかった」や「~してもよかった」のように意味そのものが過去になることは基本的にありません。
言い換えると、時制の一致によって過去形として使われる might は may よりも控えめな推量や許可を表しているわけではない点に注意が必要です。
I thought she might be right.
(彼女が正しいかもしれないと思った。)
▸ thought(過去)に時制を合わせるための might → 推量の強さは may と同じ
The teacher said students might use dictionaries.
(先生は辞書を使ってもよいと言った。)
▸ said(過去)に時制を合わせるための might → 許可の強さは may と同じ
推量を表す might
推量を表す might は基本的には may と同義です。
ただし、過去形を使うことで心理的な距離を取るため might の方が柔らかい響きになりやすく、日常会話では might の方が好まれる傾向にあります。
It might rain tomorrow.
(もしかすると明日は雨かもしれない。)

日常会話で「多分」と言いたい時は might を使えばいいよ
また would like to のように「もしかしたら」というニュアンスを活かして、might want to の形で「もしかしたら~したいかもしれない = ~してみてはいかがでしょうか」という遠回しで丁寧な提案をすることも可能です。
might want to は should や could よりもさらに心遣いのある表現です。相手に何かを優しく自然に勧めたい場面でよく使われます。
You might want to try a different approach.
(別の方法を試してみてもいいかもしれませんね。)
許可を表す might
might には may と同様に許可を表す用法がありますが、使用場面はかなり限定的です。
may の時点で十分すぎるほど丁寧な表現であり、そこからさらに一歩引いた might は非常にフォーマルで仰々しい印象を与えるからです。
そのため日常会話ではほとんど使用されず、一流のビジネスシーンや接客などの洗練された上品さが求められる場合にあえて Might I ~? の形を用いることがあります。
Might I take a moment of your time?
(少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?)

「~していいですか?」を丁寧な順に並べるとこうなるよ
- Might I ~?
- May I ~?
- Could I ~?
- Can I ~?
日常会話なら Could I ~? がちょうどいいね
may と might まとめ
法助動詞 may は話し手が出来事を現実に起こり得るものとして捉えているというスタンスを表します。
形式上の過去形である might は、時間的に過去であることではなく、その出来事を現実から少し距離を取って捉えるというスタンスを表します。
同じく推量を表す can よりも確信の度合いが低いため、may と might の推量にはそれほど差が生まれず、響きの柔らかさから会話では might が選ばれることが多くあります。
一方で許可を表す場面では might は丁寧すぎるため、基本的には may が使われます。

may と might には話し手のスタンスが関与しているのがポイントだね

May this way of thinking help you.
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