「英語を話すには中学英語で十分」──そんな言葉を耳にしたことはありませんか?
実際、日常会話に必要な文法や語彙の多くは中学レベルでカバーできます。その理由のひとつに、句動詞や群動詞と呼ばれる表現方法があります。
これらは基本的な動詞と語の組み合わせで、まったく新しい意味を生み出す表現です。
言い換えると、難解でフォーマルな単語を無理に暗記しなくても、すでに知っているシンプルな単語を組み合わせるだけで、言いたいことを十分に表現できるのです。
例えば「データを取り戻す」は
- retrieve the data
- get the data back
のように言うことができますが、日常会話では圧倒的に後者の言い方が好まれます。
学校ではあまり体系的に扱われない句動詞や群動詞ですが、ネイティブ同士の会話では欠かせない表現です。自然な英語を話すためには、句動詞の理解が避けて通れません。
そこでこの記事では、句動詞・群動詞の定義や用法、学習の際に注意すべき点や覚え方を例文とともに分かりやすく解説していきます。

retrieve は「~を回収する」という意味の動詞だよ。
TOEICにも出てくる単語だからついでに覚えておこう!
※ ここから少し文法用語よりの話になりますが、あくまで参考書などで見聞きする機会が多いために解説します。実際のところ、句動詞と群動詞という用語の違いを明確に区別する必要はありません。
句動詞とは
句動詞とは「動詞 + 副詞」 の組み合わせで、本来の動詞の意味から離れた新しい意味を持つ1つの動詞として扱う表現です。
ここで言う副詞とは、really や very のような副詞のことではなく、基本的には up, off, out といった方向や状態を表す語のことです。
句動詞は動詞が本来持つ意味とは異なり直訳では意味が通らないことが多いですが、基本的にはこれらの副詞が持つニュアンスに近い意味を表す傾向があります。
例えば up には、ある到達点に向かって上昇するという根幹的なイメージがあります。その結果として、到達した後の状態の完了・消滅というニュアンスを表すこともあります。
そのため、
- brush up:~に磨きをかける
- speed up:加速する
- catch up:追いつく
- give up:~を諦める
といった使われ方もします。

動詞の数 × 方向や状態を表す副詞の数だけ句動詞は存在するから、コアイメージを理解するのが一番効率的だよ
また、同じ句動詞でも意味によって自動詞として使われる場合と他動詞として使われる場合があります。
The plane took off.
(その飛行機は離陸した。)
▸ take off の自動詞用法:離陸する
I took my shoes off.
(私は靴を脱いだ。)
▸ take off の他動詞用法:~を脱ぐ

この辺りは普通の動詞と一緒だね
句動詞の目的語の位置
先ほどの2つ目の例文で注目して欲しいのは、他動詞用法では句動詞を形作る動詞と副詞の間に目的語が来ているという点です。
これは文法的なルールでこうなっているわけではなく、他動詞用法の句動詞の場合は目的語を副詞の前・後ろどちらにも置くことができるというのがポイントです。つまり、
- I took off my shoes.
- I took my shoes off.
は、どちらも正しい英文です。
ただし、短い目的語は動詞の直後に置かれることが多く、名詞節などによって目的語が長くなる場合は、句動詞の意味を見失わないように副詞の後ろに置くのが一般的です。
I took off the heavy, muddy shoes that I had been wearing all day.
(私は一日中履いていた重くて泥だらけの靴を脱いだ。)
▸ 目的語が修飾語を伴って長くなっているので off の後ろに置かれている
また、目的語が him, her, it といった代名詞の場合は、必ず動詞と副詞の間に置くというルールがあります。
代名詞が短く文の意味をとりやすいことに加え、発音上のリズムが自然になるためです。
Put it back where it was.
(元の場所に戻しなさい。)
▸ put back:~を戻す
I’ll pick him up at the station.
(駅で彼を拾うよ。)
▸ pick up:~を迎えに行く

目的語が副詞の前にある場合と後ろにある場合をそれぞれ声に出して読んでみると語順の自然さがわかりやすいよ!
群動詞とは・句動詞との違い
英語の句動詞とよく似た表現に、群動詞というものがあります。
群動詞とは、「動詞 + 前置詞」あるいは「動詞 + 副詞 + 前置詞」の形で成り立ち、動詞が持つ意味と異なる新しい意味を生み出し、1つの動詞として機能する表現です。
学校の範囲でもよく登場する代表的なものには、
- look for:~を探す
- deal with:~に対処する
などがあります。
句動詞と同じく新しい意味を作りますが、決定的な違いは目的語の扱いにあります。
句動詞には自動詞としての用法もあるため、必ずしも目的語を必要としないことに対して、群動詞は必ず目的語を伴います。
群動詞は「動詞 + 前置詞」で構成されるため、前置詞に対する目的語が必要なのです。前置詞の目的語は必ず前置詞の後ろに置かれるため、句動詞のように語順を入れ替えることができないこともポイントです。
She looks after her little brother every day.
(彼女は毎日弟の世話をしている)
▸ look after:~の面倒を見る
I rely on my friends for support.
(私は友人たちにサポートを頼っている。)
▸ rely on:〜に頼る

実際、句動詞・群動詞って名前は重要じゃなくて、同じ形・役割でも語順がいつも同じとは限らないことがポイントだね!

文法用語だけ知ってても英語が話せるわけじゃないからね
熟語・群動詞・句動詞の違い
先ほどの例文を見て、「rely は on と一緒に使う熟語じゃないの?」と思った方はなかなか鋭いです。
熟語とは2語以上がまとまって特定の意味を持つ表現の総称で、動詞だけに限らず名詞や形容詞の組み合わせなど、幅広いことが特徴です。
その中で動詞を中心にひとまとまりの意味を持ち、文中で動詞として働くものを群動詞と呼びます。そしてさらに、群動詞の中でも「動詞+副詞」の形で成り立つものを句動詞と呼ぶのです。
つまり、句動詞も群動詞も熟語です。
ここでひとつ補足すると、句動詞・群動詞はその形から行為・状態・出来事などを表す1つの名詞(複合名詞)として定着する場合があります。
The hotel check-in was smooth.
(ホテルのチェックインはスムーズだった。)
▸ check in:チェックインする
She is wearing heavy makeup.
(彼女は濃い化粧をしている。)
▸ make up:化粧する / ~をでっち上げる

ハイフンのあり・なしに注意だね
句動詞 まとめ
英語には「動詞 + α」の形で1つの動詞として文の中で働く、句動詞・群動詞と呼ばれる表現があります。
- 句動詞:動詞 + 副詞
- 群動詞:動詞 + 前置詞 / 動詞 + 副詞 + 前置詞
ここでいう副詞は方向や状態を表す語のことで、動詞と組み合わさることで新たな意味を生み出します。
句動詞は意味ごとに自動詞・他動詞として使われ、必ずしも目的語を必要としません。また、他動詞として使われる場合は代名詞以外の目的語の位置を動かすことができます。
群動詞は前置詞の目的語を必ず必要とします。この目的語は前置詞の後ろに置かれるため、句動詞のように位置を動かすことはできません。
文法用語としては群動詞が句動詞の上位概念ですが、学習の際は細かい区別にこだわる必要はなく、「動詞+α」の形で新しい意味を持つ表現と理解していれば問題ありません。

まあそんなこと気にならないくらい句動詞・群動詞の数は多いからね

Just power through.
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